何が変わったのか
Googleは2026年8月24日、Geminiアプリの会話内で、問いに応じた対話型の可視化、表、シミュレーションを生成できるようにしたと発表しました。従来のテキストや静的な図に加え、複雑な概念を操作しながら理解する用途を想定した更新です。公式発表には、資金消費を対話型の表で学ぶ例もあります。
実務では「AIに予測を当てさせる」よりも、すでに合意した数字を入れ、どの前提が結果を左右するかを会話で確かめる用途に向きます。たとえば、商談数・成約率・単価を変えたときの売上、人事が採用時期・人数を変えたときの人件費の幅を、関係者と同じ画面で比べるためのたたき台です。
誰のどんな作業に効くか
- 営業:商談数、成約率、平均受注額のうち、目標達成に最も効く前提を比較する
- 人事:採用月と人数を動かし、月次の人件費・オンボーディング負荷の幅を話し合う
- 企画:利用者数、単価、固定費の前提をそろえ、会議で確認すべき論点を見つける
有効なのは、「正解の予測」ではなく「AとBならどちらの前提を検証すべきか」を短時間で共有したい場面です。顧客名、個人の評価、未公表の価格表をそのまま入力する用途には向きません。
10分で試す:公開してよい数字だけで比較する
Step 1:元表から、検討用の3〜4項目だけを抜き出す
最初は機密情報を含まない仮の数字か、共有が承認された集計値を使います。例として、月間商談数、成約率、平均受注額、固定費だけを用意します。元表のセル・集計条件・期間も手元に残し、Geminiの画面だけを正本にしません。
Step 2:前提と計算式を明示して「見せる」
Geminiアプリにサインインし、次のように依頼します。Googleの案内では「show me」「help me visualize」のように、見せたい対象を直接頼む方法が示されています。画面や生成される操作部はアカウント・利用状況によって異なるため、見えない場合は何度もデータを入れ直さず、利用可能な機能と使用上限を確認します。
次の前提を使って、月次売上の検討用に対話型の表またはシミュレーションを作ってください。
期間:1か月
商談数:120件
成約率:18%
平均受注額:80,000円
固定費:1,200,000円
計算式:売上 = 商談数 × 成約率 × 平均受注額
粗い収支 = 売上 − 固定費
要件:
- 商談数、成約率、平均受注額を変更した場合を比較できるようにする
- 基準ケース、慎重ケース、強気ケースを並べる
- 使った前提と計算式を画面内に明記する
- 入力にない数字は推測で追加しない。不明なら「要確認」と表示する
- これは検討用であり、予測・予算確定ではないと注記する
数値を入れたら、まず基準ケースの売上を自分でも計算します。この例は 120 × 18% × 80,000 = 1,728,000円 です。表示が一致しなければ、その画面は使わず、入力・単位・計算式を修正してやり直します。
Step 3:変えるのは一度に1項目だけにする
- 成約率を18%から20%へ変え、結果がどう変わるかを見る
- 次に商談数だけを120件から140件へ変え、前の結果と混ぜない
- 変化が大きい項目を1つ選び、「この数字はどの元データで確認するか」を会議メモに残す
複数の数字を同時に動かすと、どの要因が効いたのか分かりにくくなります。対話型表示は論点発見に使い、確定のシナリオ表は元のSheetsやExcelで保管します。
会議に持ち込む前の確認フロー
- 入力照合:期間、単位、税抜/税込、率の表記、集計対象を元表と比べる
- 式の照合:基準ケースと、1項目だけ変えたケースをスプレッドシートで再計算する
- 用途の照合:画面は仮説比較用と明記し、予算・採用・対外資料の数値は担当者が承認する
共有するなら、生成画面のURLやスクリーンショットだけで終わらせず、前提一覧・元表の版・確認者を会議メモに残します。これで、後から数字だけが一人歩きするのを防げます。
限界とリスク
- Gemini Appsは誤ることがあるため、Googleは回答の再確認と、専門的助言として依存しないことを案内しています。
- 機能の利用可否、表示、使用上限は、アカウント種別、組織の管理設定、地域、混雑状況で変わることがあります。WorkspaceではGeminiが有効になっている必要があります。
- アップロードや入力する資料は、組織の生成AI利用ルールに従います。個人情報、顧客の未公開情報、採用評価を検討用データへ安易にコピーしません。
- 「対話型」であっても、因果関係を証明したり将来を保証したりするものではありません。結果が大きく変わる前提ほど、担当者と一次データで確認します。
まとめ
Geminiの対話型シミュレーションは、数値を自動で決める道具ではなく、前提を小さく動かして「次に何を確かめるか」を見つける道具です。最初は公開可能な集計値を3〜4項目に絞り、基準ケースを自分で再計算し、変数は一度に1つだけ変える。これなら、営業・人事・企画の会話を早めながら、数字の責任は人と元表に残せます。
出典・確認日
- Google Workspace Updates:Geminiアプリで対話型シミュレーションとモデルを生成(2026年8月24日)
- Google Gemini Apps Help:Gemini Appsの使い方、利用条件、回答の確認
- Google Gemini Apps Help:Gemini Appsの利用上限と利用可能性
上記の一次情報を2026年9月4日に確認しました。機能、利用上限、アカウントごとの表示は変わることがあるため、利用時は自分のGeminiアプリの画面と組織設定も確認してください。